綺麗でありたいに、性別・年齢は関係ない

以前一緒に働いていた職員に、絵が上手で、ネイリスト経験もある人が居た。その人は、実は私が介護業界に初めて飛び込んだ時から、色々な事を教えてきてくれたうちの一人でした。今は、何がキッカケだったのか分かりませんが、急に職場を辞めてしまって、多分違うところで介護の仕事をしていると思います。何年も、数か所のデイサービスを別々な形ではありますが、一緒に渡り歩き、最終的には同じ施設で、また一緒に働いていました。

さて、そんな彼女が取り組んでいたこととして、【福祉ネイル】がありました。今の施設が立ち上がった当初、ネイルアートを提案したところ、男女問わず彼女が施したネイルアートに癒される利用者様の姿を目にしたものです。

季節の絵をリクエストしたり、好きな将棋の駒や、アニメ。馬など動物。ジャイアンツのキャラクター等々。一緒に考える利用者様は、楽しそうに見えました。

とはいえ、爪も健康状態を判断するためには大切な情報源でもあり、看護師・医療の立場からしたら、賛否両論あったことも事実です。

しかし、確かな事としてこれは【精神的に気持ちを明るくする効果】があると、傍で見ていて実感しました。これって高齢者の方々に限らず、年齢や性別は関係ない事のように思います。明るい気持ちになれば、同時に前向きな精神状態にもなる。前向きになれば、人に会いたくなったり、出かけたくなる。実際、利用者様の中には、「今度出かけるから」とか、「訪問ヘルパーさんに褒めてもらった」とか、「違うデイサービスで話題になった」等々、皆さん嬉しそうに話していました。笑顔が増えますね♪要するに、QOL(生活の質)の維持・向上に繋がる世界なのではと考えます。

例えば化粧療法

化粧療法とは、スキンケアやメイクなどをすることで、心身機能やQOLの維持・向上を目的としたものです。病気になって、介護を必要とすると、こういった化粧をしなくなる・出来なくなってしまうようになります。そうなると、人と会う事や外へ出ることが億劫になったりもします。

しかし、人は化粧やおしゃれをすることで気持ちが明るくなり、自分の変化を自分の目で見ることによって、自信を持つことが出来るのかと思います。そうなると、外へ出かけたくもなりますし、人に会うことを楽しむこともできます。結果、社交性向上などにも繋がって、ADL(日常生活動作)の維持・向上にもなるのです。

化粧療法は、肌の清潔を保つ・血行促進・シワ予防などの効果があるそうです。そして、色を見たり、顔にブラシなどが触れる・香りをかぐ等、五感を刺激するので、脳の活性化にもつながります。

そのうち、ご自身でするようになることで、上肢の運動にもなります。女性だけではなく、男性であっても、スキンケアをすることで、肌の質が良くなったりしますので、気持ちへのアプローチにもなります。

我が施設で、ご利用当初、介護拒否があり、時に暴言も吐かれていた車椅子の方が居るのですが、今では慣れたのもあり、大分穏やかに過ごしていただいてます。そんな中、ある日から口紅をして来所されるようになりました。その色合いを「良く似合っています」と、お声かけすると、とても表情が明るくなったのを覚えています。そして、以降体調が良いときは、ご自分で口紅を引くようになったと家族様から聞いてます。

素晴らしいですよね。いくつになっても、体が不自由になっても、女性としての楽しみは永遠なのです。

他にも、化粧をするではありませんが、洗顔にこだわりを持たれたり、洗髪には決まったシャンプーを使用する。そんな方々もいてます。男女関係なくです。

男性でも、化粧水・頭の整髪剤・育毛剤をちゃんと気にしながら使用されている方もいらっしゃいます。

身だしなみを気にするということは自立心にも繋がったりして♪

最近では、マスクにこだわる方も増えてきているように感じます。

福祉ネイル

最近とくに話題にもなっている福祉ネイルですが、2020年では全国で950名を超える福祉ネイリストが活動されていると言われています。福祉ネイルの対象者として、高齢者をはじめ、認知症の方・身体障害者・精神障害者・心身障害者等々が挙げられています。
福祉ネイルは、依頼を受けてから施設などその場所へ行きます。もちろん、私が一緒に働いていた人のように、職員が利用者様にネイルをする例もありますね。

ネイルは、落ちにくいジェルネイルはせずに、マニキュアを使用します。また、絵を描くネイルアートでは、絵の具とマニキュアを使用するなど、安全性のあるものです。

福祉ネイリストになるには、講習・試験・実地研修が必要なようですが(実際に料金が発生する・それで稼ぐための資格)、何も資格がなくても、技術があるならば、働いている施設にて提案し、利用者様の癒しや楽しみの一つとして取り入れるのもアリだと思うのです。


そして、高齢者になると、爪は割れやすく引っかかりやすくもなりますので、色を付けなくてもやすりで形を整えるだけでも、ずいぶん綺麗になり、喜んでいただけます。私は、たまに爪をやすりで手入れしながら、利用者様とコミュニケーションを取るようにしていますが、気になっていた爪のガタガタが綺麗になった!と笑顔のお返しを頂いてます!(^^)!

これから求められる介護の形として、個人の個性もより大切になってきます。そんな中、生きてきた過程で慣れ親しんできた整容・化粧等、男女関係なく、いろんな方法を取り入れることで、気持ちの面でもアプローチ出来れば、笑顔が増えて、更にQOL(生活の質)の維持・向上に繋がるのかなと考えます。

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