送迎車での会話テクニック

日々、デイサービス等送迎業務にあたると、車内でのトークネタに悩むこともあるかと思います。
もちろん、トークをそこまで考えず、無言でも気にならない人もいるかもしれませんが、送迎中の利用者様との会話には、様々な情報が隠れていたりもするのです。

例えば・・・。やり取りから、体調・心の変化に気付いたり、その方の思考なども知ることが出来るのです。もちろん、親しみももっていただけます。それに、利用者様に対しての立派なケアの一つでもあります。
せっかくの、このゴールデンタイムを苦手とする人の参考になるよう書き残してみようと思います。

送迎デビューしたときの私(体験談)

もともと人見知りもあり、出来れば一人が気楽と考えている私ですが、今となっては送迎中で会話に困ることはあまりありません。(それでも一人が好き。)

でも、送迎デビューしたての頃は、上司からは「何か話を利用者さんにして、沈黙がないように!!」とよく注意をされていました。そうなると、ますます何を話していいのか・・・。頭が真っ白状態も多々ありました。そして、少しの秒沈黙もよくないと考え、無理に何か話すことを意識して、ず~っと何か話していたように思います。もちろん、凄くしんどい時間でした。あとから考えれば、秒の沈黙くらい、時には必要な場面だってあるんです。

最初は何を話そうか、送迎前にいくつかネタを考えていました

天気の話。朝ごはんの質問。よく眠れた?みたいな(笑)・・・💦

そこまでは、送迎初心者の人でしたら、必ず慣れるまではしておいた方がいいです。

送迎デビューしたときから、現在も続いているのは『挨拶後に、暑いとか寒いですねとか、利用者さんが髪を切ったり、服装がステキだったらそれをすぐさま触れてみたり・・・一言続ける』です。そう、一言です。
あと、春先や夏だったら、お家の花が綺麗だとか、蝉が遂に鳴きだしましたね。みたいに、実は色々身近にネタが転がっていることが多いのです。

これが慣れてきたら、案外自然と、第一声の言葉は湧いてきますし、様々な事に気づく力も付いてきます。そうなると、自然と気づいたことを言葉にして、そこから会話が広がることもあります。

認知症の方との送迎

認知症の方の世界観は、過去のブログ記事にも書いたのですが、なんだかおかしな内容でも、今が現実世界です。その方の性格や、生活歴などにもよりますが、案外認知症の方って、お話して下さる方が多いです。スイッチが入ると、会話が続きます。まぁ、そのスイッチをこちらが押さなくてはいけない場合もあるのですが・・・。なので、非現実でも内容を合わせると楽しい時間になります。仕事の話をしてくださるなら、自分もその世界の一人になりましょう。過去の日常を語られたら、現在のように傾聴しましょう。それだけで、認知症の方も到着まで気持ちが落ち着きます。こちらの緊張等は、必ず伝わりますので、傾聴からの質問等その方を「より知る」を意識して会話してみてください。

ただし・・・。最初から調子が良くない場合は、そっとすることも必要だったりもしますのでケースバイケースの対応が良いでしょう。

無理に会話を広げようとして「なんじゃお前は!!」等々、声を上げる事例もあります。これはもう、最初から不穏Max状態です。なので、これは無理に会話を広げない方が良い事例。
逆にムスッとしていても、一言声をかけてみると、そこからマシンガントークが始まることもあります。そんな感じで、うまく伝えにくいのですが、数をこなすと最初の関りで、どのようにすべきなのか、判断もできるようになってきます。

沈黙も、時には癒しの空間

過去に私の祖母が、”デイサービスで聞きたくもない話を、職員が話してきた。”みたいなことを言ってたことがあります。

きっとその時の職員は、会話を繋げようと必死だったのかもしれません。
何かを話そうと、自分の日常的な出来事を話したり、逆に利用者様に色々聞いたりしすぎると、場合によっては利用者様のストレスになることもあります。

利用者様の中には、おしゃべりがあまり好きではなかったり、今日は話をしたくないって日もあるでしょう。そんな時は、無理に何か話をしようと思わずに、見守ることも必要です。

沈黙も、時には癒しの空間だったりするのです。

最低限、あいさつなどの短い会話だけでも、利用者様とのコミュニケーションになるかと思います。

私が沈黙を武器にする場合は、その間利用者様を見守ることはもちろんですが、ご利用メンバーの特徴から、今日はどんなレクリエーションをしようかとか、どういった段取りで一日の業務をしようか等々考える時間にすることもあります。あとは、送迎の添乗員の場合に限りますが、上肢が拘縮されている方だと、対一で伸ばす運動をする絶好の時間だったり、触れられることを嫌がらない方でしたら、軽くタクティールケアのように肘から手先をほぐす事をすると、無言でも到着前には「気持ちが良かった」とおっしゃってくださる事もあります。施設に到着すると、このような対一での関りが難しいですからね。
タクティールケアについては、過去のブログ記事に書いていますのでよかったら参考にしてみてください。

タブーな会話って

何か話したくても、避けた方が良い内容もあります。その時・その方のタイプにもよりますが、こればかりは経験を重ねていく事で把握できる事。

例えば、他者様・他の職員の話題になることもありますが、自分はあくまでも情報を知らないように答える必要があったりもします。そんなこと分かってるよ!って思うかもしれませんが、ついつい知っているがゆえに、ポロっと話す人も中には見てきました。あまり後々よくなかったりもします。
そしてありがちなのが、話題に困って自分の話をすること。上記にもありますが、私の祖母のように「あんたの日常の話には興味ないんだよ」って方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、利用者様から何か聞かれるのであれば、良いのですが。

ご家族の話も、利用者様をあまり知らないうちはしないようにしましょう。

新規利用者様の時は?

先日、体験の利用者様の送迎に行きました。ちょうど私のご近所さんだったので、地域の話・いつから住んでるとか、共通する話題を少ししてみたのですが、少し控えめな方だなと感じました。こちらからお声かけすると、会話が広がる感じです。
その後に、お迎えに向かったご利用者様のタイプが、にぎやかに話し続ける方だったのです(認知症の方)。

はい、座席のチョイスを失敗しました(笑)横に座っていただいたのですが、物静かな体験の利用者様にとっては、少し疲れる時間だったと思います。会話と沈黙のバランスがうまくいかない状況といいますか。
そんな時は、あえて会話をせずに見守ります。すると、にぎやかな独り言は落ち着きます。タイミングを見て、今度は今日のデイサービスでする内容を話してみたりしているうちに、到着です。

会話も大切ですが、狭い空間である座席の位置も、限られていますが工夫が必要だったりしますね。

新規の利用者様には、送迎中は居心地の良さをアピールし、デイサービスでは楽しい気持ちになるお手伝いをすることを意識して関わるように、私はしています。


送迎って、利用者様との距離を縮めるには絶好のチャンスでもあり、唯一ご家族様が居れば、ご家族様とのコミュニケーションを取れる絶好の機会でもあります。なので送迎業務って、トークスキルも身につけば、気づく能力も身につき、自分にとってメリットが沢山あるのです。

是非、この貴重な時間をポジティブに過ごしてみてくださいね。

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